
曲をミックスするのに様々なツール(プラグイン)が必要なのはわかったけど、何から手をつけて良いのかわからないなぁ。
今日はこんな質問に答えていきます。
私は普段転職エージェントとして活動しておりますが、20代はプロの音楽家として活動しておりました。演奏もですが、音源制作でも仕事をしておりましたので、その知見から今回は音楽制作で【まずこれだけ知っていたら何とかなる!】というプラグインをご紹介していきます。
現在もこっそりと音楽活動をしております!
現在Apple MusicやSpotifyはじめ、各種配信サイトでも私の作品がリリースされておりますので、是非遊びにきてください。
3分ほどで記事は読み終わります。3分後には、どんな未経験の方でも、音楽制作やミックスにおいて必要なプラグイン、その使用用途の理解が深まっていると思います。
必ず覚えたいプラグインその① EQ

不要な音・必要な音を上げたり、下げたりするのがこのEQです。
ほぼ全てのトラックに使用すると言っても過言ではないでしょう。
なぜなら、各トラックの音はそれぞれ帯域の被りが発生しますので、そこのすみ分けをしてあげる必要があるんですね。ベースとキックなど、低い音同士でぶつかる帯域があるので、そこを削ってあげるのに使うのがこのEQ。ボーカルとエレキギター等の音処理にも大活躍してくれます。
EQを使う上で大事なポイントは下記となります。
・音を消したり、ない音を足したりするツールではない
・音を下げるのをメインに使用する事
音を消したり、ない音を足したりするツールではない
EQは原音に対して特定の音を下げたり上げたりするツールなので、【音を無かった事にする】とか【無かった音を足してあげる】なんてことは出来ません。
よく初心の方で多いのが

まぁ、あとでEQ使って音を調整するれば大丈夫!何とかなる!
結論、何ともなりません!
EQはあくまで各音のバランス調整に使用します。
ですので、音そのものを魔法のように変えるツールではないのです。
低いを音や高い音を強調することは出来ても、音質や音像を劇的に変化させるものではありませんので、録り音が悪ければどんなにEQを駆使しても良い結果は得られないでしょう。
初心者ミックスでよくある間違いですのでお気をつけください。
音を下げるのをメインに使用する事
EQは上げるよりも下げることをメインに使用することをオススメします。
上記でも説明しましたが、EQは音のバランス調整に長けているツールです。
音同士がぶつかっている帯域を見極め、そこを削ってあげる(下げる)ことを第一に考えてください。
必ず覚えたいプラグインその② コンプレッサー

簡単に言うと、コンプレッサー(以下コンプと記載します)は対象の音を潰すプラグインとなります。

え!?音を潰すってどういうこと??
そう、このコンプの役割や使い方は、初心者にとって一番苦戦するプラグインと言えるでしょう。
なぜなら音は見えるものではないですから、【潰す】と言われてもあまりピンと来ませんよね。
ではもう少し具体的にコンプの使い方を解説していきましょう。
主に下記3つとなります。
・大きい音を抑えた(潰した)分、音圧を上げる事が出きる!
・音を奥へ持っていき立体的なミックスに仕上げられる
・音の粒を揃えられる
それでは詳しく見ていきましょう。
大きい音を抑えた(潰した)分、音圧を上げる事が出きる!

音の波形ってこんな感じになってます。
図でいう赤い線が0db、つまり音の最大値(ピーク)となっており、ここを超えると音割れが発生します。
そして、この黒い部分の面積が増えるほど、音量が上がってることになるんですね。
それではこのまま音量を上げていきましょう。

黒い割合が増えましたね。
同時に赤丸で囲った部分が0dbラインに触ってしまった事がわかりますでしょうか。
こうなると、音は図の赤丸部分に差し掛かった際に音割れを起こしてしまうのです。
ここで一つ疑問が生まれます。

え、でもそのほかの部分では音割れはしてないよね?全体の音量を音割れせずに上げるにはどうしたら良いの?
この図の場合では、音割れは赤丸で囲んだほんの一瞬だけで、他の部分は0dbまで十分な隙間がありますよね。
できればもっと全体の音量を上げたい。
そんな時に便利なのが、コンプなんです。
この赤丸の部分だけ音を潰して上げて、その分全体を持ち上げてみると・・・・

一番最初の画像と比較してみましょう。

2つは全く同じ音源で、同じタイミングの波形です。
明らかに黒い部分が多くなり音量が均等に上がったことがわかりますね。
このようにコンプは音圧を上げるのにとても便利なツールなのです。
音を奥へ持っていき立体的なミックスに仕上げられる
上記の図でもわかるように、コンプは音のピークを抑える(削る)事が可能です。
この特性を活かし、音像自体を奥に引っ込めてしまうこともできるのです。
かなり簡単に説明しますと、コンプでピーク外の部分も全て抑えてしまう事で、音を奥に引っ込めることが可能となるのです。

え、音量下げるだけじゃダメなの?
音量を下げただけですと、全部下がってしまいますので存在感も薄くなってしまいます。
例えば、ロックバンドのフォーメーションを思い浮かべてみてください。

こんな感じでドラムは一番奥に設置されるのが通常です。ミックスでもこのバランスを再現していく必要があります。
そしてドラムは一番迫力がある楽器です。
配置上は奥ですが、LIVEに行ったことがある人は分かると思いますが、ドラムの振動は体に強く響いてきますよね。つまり【存在感】はちゃんと残してあげなければなりません。
そうなってくると音量調整だけでは厳しくなってきますので、コンプの出番となるわけです。
音の粒を揃えられる
コンプは音を潰すツールということは良く理解いただけたかと思います。
その潰し方を適度にしてあげることで、凸凹な波形を均一することができ、結果音の粒を揃えることができます。
例えばギターのカッティング演奏や、ベースのピッキング演奏も更にシャキッと聞かすことが出来るんですね。
ゲインリダクションは-1〜-2dbぐらいになるように、スレッショルドとレシオを調整し、アタックはやや早めから真ん中ぐらい、リリースは超早めにするとこの状態を作りやすいです。
この作業はかなり耳の慣れが必要になるので、コンプ後の波形を見ながら、目と耳で感覚を掴みにいきましょう。
必ず覚えたいプラグインその③ ディレイ

ここからは空間系のプラグインとなります。
EQとCompは素材そのものを加工するのに対して、
空間系のプラグインは周りの隙間を埋める役割を担っています。
まずはじめにディレイ。
簡単に言うと、【やまびこ】のような効果を演出できるツールです。
私がよく使っているのがコチラ。

wevesのSuper Tap
※wave製品を集めるならGoldがお勧めです!必要なものが全て揃ってます。
Super Tapはメインの音に対して、様々な角度から別々のディレイをそれぞれ設定出来る優れものです。写真のは6方向設定出来るものになってるのですが、僕は大体2方向ので充分ですね。
良く使用するパートはVocal
Vocalに対してSuper Tapを使用し、右と左から薄らとそれぞれ違ったテンポのディレイがかかるように処理します。
そうする事でモノラルのVocalに厚みを持たせる事が可能になります。
写真のような6方向も設定出来るものは少ない編成のコーラス隊で迫力を出したい時など有効だと思います。
あとはPANを左右全開に振ったエレキギターだったり、シンセもので更に厚みを持たせたい時などにも大活躍しますよ。
どの場合もまずはAUX側に音を送り、AUX側でディレイの調整をする必要があります。
(※ableton Liveの場合はリターントラック)
オススメ設定は左右それぞれから4分・8分音符でディレイが返ってくるよう設定し、
Feedbackの設定を1(1回分更に音が返ってくる)を頻繁に使用しています。
写真の製品でなくても、この設定は可能ですので是非お試し下さい。
必ず覚えたいプラグインその④ リバーブ

最後はリバーブ。
リバーブという言葉自体はカラオケ等で良く耳にするんじゃないでしょうか。
(実は上記で説明したディレイは所謂エコーと同じような効果です。エコーもカラオケで良く聞く言葉ですね!)
写真のは良く私が使用しているもので、TrueVerbといいます。これもwaves製です。
設定はプリセットを駆使しよう
この製品に限らず、初めての方は基本プリセットから音処理の効果について体感していきましょう。
そこから少しずつ他のツマミも弄って変化を体感するのが一番良いかと思います。
プリセットを使うのはまだまだ素人!
と言う方もいらっしゃいますが、そういう人には言わせておけば良いのです。
実際プリセットを採用するプロの方もいらっしゃいますしね。
最近のものは本当に優秀ですからね。
わからないで適当に弄るぐらいなら、予め用意された設定で駆使された方が賢いです。
因みにですが、上記でご紹介しましたTrueVerbですが、
プリセットにある【New York Plate】が非常に秀逸ですので、是非ご活用ください。
画面右下にあるDirectボタンはオフにして使ってみてくださいね。
それでは最後にミックスでリバーブを使いこなす上で大事なポイントをご紹介しましょう!
下記の3点になります。
・最低でも二種類の響きを用意する事
・足し過ぎない事(もっと響かせたかったらコンプを使用する事)
・EQを利用しLowとHigh成分に最大の気を使う事
最低でも二種類の響きを用意する事
例えばプリセットから【プレート】ってタイプの物をVocalに使用するならば、
その他のギターなんかにも同じプレートを使うことでサウンドに一体感が生まれますが、
全部同じリバーブですと、深みにかけてしまいます。
最低でもあともう一つ用意してみましょう。
オススメはChurch(教会の響きを再現したもの)ですが、Hallタイプでも良いでしょう。
例えばそれをシンセの響きに使用するとか、もしくはプレートを使用したVocalにも、少しプレートの割合を減らし、Hallの響きを少し足してあげる、などなど。
そうする事で響きが良い意味で複雑になっていきますので、音源に更なる深みや奥行き感などを持たせることが出来ちゃうんです!
足し過ぎない事(もっと響かせたかったらコンプを使用する事)
リバーブ掛け過ぎはアウト!特にDrumsとかVocalは要注意です。
(掛けなさ過ぎも同じぐらい駄目です)
なぜなら、リバーブを掛け過ぎた音源は全体がぼやけてしまい、迫力が死んでしまうからです。
でもたまにミックスを進めていくとこんな事があったりします。

これ以上掛けると音像がボヤけてしまいそうになるけど、
もう少し響きが欲しい!!
とか

後ろから徐々に迫ってくるようなリバーブが欲しい!!
そうなった時、実はコンプを活用することで解決します。
リバーブの後ろにコンプをセットし、アタックを抑えながらゲインを上げていくのです。
そうすると響く範囲は絞ったまま、響きの存在感だけは残させることが出来るんですね。
実はリバーブにおいても活躍の場があるコンプレッサー。実に奥が深いですね。
EQを利用しLowとHigh成分に最大の気を使う事
リバーブはかける音域を決めて上げた方が良い場合の方が多いのです。
例えばDrums
そのままリバーブをかけてしまうと、バスドラの低域成分も響いてしまい、かなりモコモコしたサウンドになります。その響きはベースのサウンドにも悪い影響を与えてしまいます。
そんな時はリバーブの後ろにEQ を挿して、Lowを大胆にカットすればOK!!
(逆にDrumsのAUXトラック側でEQを使いLowをカットしリバーブに送るのもアリです。)
その際、Drumsの金物系(シンバルとかハイハット)もリバーブに送り過ぎるとキンキン煩いので、Highも若干カットしてあげましょう。
実はこれ、ディレイの時にも同様に使えるテクニックとなります。
リバーブやディレクなど、空間系のプラグインは複数のトラックと共有してることが多いので、低い音と高い音に関しては響きが集中してしまい、全体のサウンドに重大な影響を与えてしまう結果に繋がってしまいます。
是非参考にしてみてください!
初心者のミックスで注意しておくべきポイント

今回は最低限抑えるべきプラグインのご紹介となります。
まずはこの4つのプグインをメインに、使い方をしっかりとマスターし少しずつ自分の出来ることを増やしていきましょう!
最後に初心者のミックスで注意しておくべきポイントを3つにまとめてみました。
・あれやこれや色々なツールを使い過ぎない
・極端な掛け方はしないこと(少しの変化を少しずつ重ねていくこと)
・そのツールの役割を正しく理解すること(理解できなければ使用しない)
結論、プラグインは補助的な役割ですので、急激に音を変化をさせたいのであれば、音作り(録音の段階)から見直しましょう。
また、使い方がわからないのに適当に使用しないこと!
そして大前提、使用方法の前にそのツールの役割を正しく把握することが良いミックスに近づける一番の近道になります。
というわけで、今回は以上となります。
私はプライベートで今も音楽活動をしておりまして、YouTubeチャンネルなども運営しております。最近の作品をご紹介させてください。音やミックスは全て私によるものです。
よかったら是非チャンネル登録の程宜しくお願いいたします!
人生に、彩りを。
Chiva.
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