転職支援の隙間時間で音楽活動もしている私から、本ブログで不定期に音楽ネタも発信していきます。今回のテーマは【ミックスについて】です。
普段皆さんが聴かれている音源はどう作られているのか、興味を持っていただけましたら幸いですし、DTMなどで音楽制作をされてる方にはミックスの参考にしていただけたら嬉しいです。
前回はミックスとはなんぞや?という話を簡単に説明しました。
今回はそこから少し具体的なお話をしていきたいと思います。
ミックスにおける基準の音
に関してのお話です。
まず初めに録音したばかりのトラックの音量について

これあまりネットに情報が載ってなかったので、ここでお話しておきますが、ミックスを行う前に各トラックの録音したオーディオファイルのゲイン調整をしなければなりません。
ゲインってなに?
音圧の事です。音圧と音量についての解説は以前の記事に記載したので、興味がある方は下記からご確認ください。
録音した波形がこんなんだったとします。

これをこうする作業をしましょう。

簡単にいうとゲインつまみをただ下げれば良いだけです。
同じボリューム設定で音の大きさを小さくしておくという事ですね。
目安としてはVUメーターで赤ランプがつかないぐらいまで下げてください。
ゲインを下げるメリット
ゲインを下げるメリットは下記のようになります。
- トラックに挿入するプラグインはこの波形に作用して動くので、下げるとクリップ防止になる
- ボリュームのつまみは一切動かしていないので、後から細かい調整がラクになる
この2つになります。特に前者は全体の音質にかかわる大事な部分ですので、絶対に行った方が良いですよ。
最初から適切なゲインで録音(VUメーターで点灯しない範囲での録音)ができていれば良いのですが、録音時は太く録りたいという方も多いでしょう。その場合は最後ミックスの前にゲインの調整を行った方が良いのです。
これをゲイン・ステージングというのですが、詳細はLANDRさんの記事がありますのでご紹介しておきますね。
必ずこの処理が終わったあとにミックスに入るようにしましょう!
ミックスにおける基準の音とは

音を混ぜてくのがMIXなのですが、
混ぜると言っても闇雲に混ぜては駄目なわけで。
何の音を基準にするか
が大事になってきます。
これは色々な考え方があるのですが、
私が普段使用してるやり方を本日はご紹介します。
結論から申しますと、
Bass

Drums

のどちらかで基準音を定めてMIXして行きます。
傾向としては、
主に生ドラム音源でロック・ポップス寄りのMIXでしたらBassを基準に。
打ち込みドラムのダンス(EDM)・ヒップホップ系のトラック系のMIXでしたら、Drums(特にkick)を基準に構築して行きます。
Bassを基準にミックスを進める場合

VUメーターを使用します。
アナログのがあれば勿論それに超した事はありませんが、
DAW付属のプラグインのものでも全く問題ありません。
オススメはPro Tools付属のPhase scope

そもそもVUメーターって何?
このメーターは人間の聴覚上のボリュームを計ってくれる代物です。
上図のPhase scope中の左側【LEVELS】内の一番上のチェックの所、
(図では【Peak】になってる所ね)をクリックするとVUメーターに切り替わります。
切り替えたら録音したBassトラックをソロで流して、メータが丁度真ん中当たりを指している所(-20まで表示のあるものは-10の所)になるようVolumを調整していきます。
あんまりにも振り幅が大きい時は、コンプ等で整えてから計ってみて下さい。
(コンプの説明は別項で致しますね)
これで大体のBass音量の基準が見えてくるので、その音を元に他の音のVolumを調整していきます。
流れとしてはBass → Drums → Vocal → Guitar (LR両側に振ってる音)
になります。その後他の上モノ系のVolumを上げていきます。
POIINT
①Bassより後ろの方でDrumsの音が聞こえるよう音量調節をするのですが、
それに加え、あくまでBassは前に出し過ぎず、kickの下の方で鳴ってるイメージで調整してみましょう。
一見矛盾してるように聞こえますが、位置としてはベースのが前です。
ただDrumsに対して下方から鳴る音像になるように調整するんですね。
これが難しい。
ただこの時点ではVolumのみの調整ですので、そこまで神経質にならないように。Volumが決まった後の細かな調整作業もあるので、まずは大体でOK !
②Vocalは一番前に聞こえるよう調整。ちょっと上げ過ぎかな?ぐらいで丁度良い時もあります。どう上げてもVocalが前にグッとこない場合はBassかDrumsの音量が大き過ぎてる事が多いです。要チェック。この時のVocalは低域をEQ等でカットしとくと◎
③再度の両サイドのGuitarは②で調整したVocalの位置感を崩さない程度に音量を留めること。迫力を出したい気持ちは分かりますが、ここで上げすぎると必ず後で失敗します。ちょっと足りないかな?ぐらいで丁度良かったりします。この時のGuitarもザックリで良いので低域をカットしときましょう。
Drumsを基準にミックスを進める場合

まず音を作り込みます。
何も考えず、とにかくドラム音を形にして下さい。
(音作りに関してはこれも別項で特集を組みます)
出来上がった音のトラックVolumを0dbまで上げた時の音量が、ピークで0.1まで上がるようコンプ・リミッターで調整します。(既存のサンプル音源を使用する際も同様ですが、既に上記条件を満たしてた場合はコンプ・リミッターの調整は不要)
それをそのまま出力先をAUXトラック(ableton Liveならリターントラック)へ設定し、AUX側のトラックVolumを大体−13db前後に定めてBassの音量を決めてくと良い結果が得られます。
その後のドラムへのプラグイン処理はそのAUXトラックで行います。
(AUXトラックが分からない方は迷わずググろう!笑)
また打ち込みドラムではkickを前に持ってくる音像が多い為、
そうしたい時のテクニックとして【サイドチェイン】が有効なのですが、
ここで説明すると長くなるのでこれまた別項で特集しますね。
ミックスの流れに関しては、
EDMなどのキックを目立たせたい音像にミックスをしたいならVocalの少し手前までkickを上げます。そのkickの後ろでベースが鳴るイメージです。スネアはその間にあるイメージですね。そこにその他上モノ系を足していくイメージで整えていきましょう。
ただ最近の傾向では、より音圧を稼げるようキックの音自体は極力後ろの方にセットして、キックの存在感を低音の強調で印象強いものにしてるミックスが多いような気がします。
あとは好みの問題ですね。
マスターの音量について

上記で説明したようにミックスを進めていき、最終的にマスター音量が、最大-6dbになるよう意識しましょう。(多少前後する分には良いかと思います。)
この次の作業で、全体の音源の音圧を上げていく作業がありますので、このミックス終了の段階では-6dbぐらいの隙間があると後々作業が捗るのです。
今回はミックスの基準の音についてのお話でした。現在ではiZotope社から出てるNeutronシリーズなどAIによる自動音量調整機能なども出ており、非常に便利になってきました。(私も愛用させていただいております)
ただやはりAIによる調整も完璧ではありませんので、ある程度仕組みを理解することは非常に重要かと思います。
またリスナー専門の方も、こういう工程を経て曲が出来上がるということを楽しんでいただけましたら幸いです。今後も不定期にですが音楽ネタの発信もしていきますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
人生に彩りを。
Chiva.
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