強いものが正義? 不正告発は慎重に。

考察
スポンサーリンク

会社の不正を見つけたら、貴方はどうされますか?

正義感が強く真面目な人ならば、然るべき対応を取るべきだと思うでしょう。

しかしあまり容易に行動に移すのは危険かもしれません。

スポンサーリンク

日本企業における不正の実態について知っておこう

そもそも日本企業における不正の実態について、傾向をみてみましょう。下記はKPMGが調査したもののポイントになります。

①不正が発生したと回答した企業は429社中135社にのぼり、その割合は回答企業の3社に1社であった。そのうち、本社(回答企業単体)では不正が発生していないものの、国内または海外子会社で不正が発生したと回答した企業は61社(約45%)にのぼった。

②発生した不正の損害額は、国内または海外を問わず、子会社で発生した不正の方が大きくなる傾向があった。

③不正発生の根本原因として最も多かった回答は、前回調査と同様に「属人的な業務運営」であった。一方で不正の発見経路として最も多かった回答は、「内部からの通報」であり、前回調査の「会計記録等の確認・承認・モニタリング」を上回った。

④品質・検査偽装の原因として、「収益追求・コスト削減」を挙げた企業が最も多く、また、最大のリスクとしては「信用喪失による売上減少」が「人命・安全にかかわる事故」を上回った。

⑤不正対応についてAI(人工知能)の活用が期待されてはいるものの、現時点で実際に活用されている事例は少ない。

KPMG / 日本企業の不正に関する実態調査 2019-07-10 より

これを拝見しますと、不正発生の原因は特定の人物の運営に問題があり、不正発見の経路は内部からの通報が多いことがわかりますね。

不正を見つけてしまったときに、告発する行動にでる社員は一定数いることが見てとれますね。

会社の不正を見つけたら、通報するべき?

悪いものは悪いわけで、不正は不正ですから、通常であれば当然報告することが正しい行動ではありますが、社員が会社の不正を通報することで果たしてリスクはないのでしょうか。

オリンパス社の事例を見てみよう

日本の光学機器・電子機器メーカーで有名なオリンパスという会社で実際に起こった事例をご紹介しましょう。

匿名制が守られなかった

上司の不正を発見した社員が、会社の信用を守るためにコンプライアンス室へ内部通報をした際、なんと回答書がその上司を含めて返信されてきたのでした。

上司と部下という近い距離でこれは正に地獄のような状況です。いくら通告者が正しいとは言え、上司の社内的裁量が強ければ、部下への影響は少なからず発生しそうなものです。

事実この部下はその後大変な目にあうことに。

左遷と複数に及ぶ配置転換、そして密室での恫喝

上司ににらまれた部下はその後、「部長付」という閑職に左遷されたうえ、継続して迫害を受けたそうです。

何度も配転を命じられ、無意味な仕事を強制されたり、「特別面談」と称して、密室で上司に恫喝されたこともあったそうです。

全てはその部下を退職に追い込むため。

思い余って社長にも直訴したそうですが、産業医の診断を迫られたそうです。

会社は、その部下を「ノイローゼ患者」に仕立て上げ、休職を画策していたらしいのです。

詳細はこちらの記事に全て記載されてますので、是非ご覧ください。

如何でしょうか。非常に怖いお話ですよね。

制度としては設けられていても、こういう事態になるのでは社員はもう何も出来なくなってしまいますよね。

果たして不正告発において、社員の身を守る法律はないのでしょうか。

公益通報制度

実はちゃんと法律はあるんです。実際に上記でお話した部下もこの制度によって雇用自体は保護されていたのでした。

正式には「公益通報者保護法」という法律で、内部告発をした人を守る制度なんですね。

詳しい保護内容や該当条件などは下記をご覧ください。

でも上記のオリンパス社の例を見てると、そんな簡単な話ではなさそうですよね。

雇用を守ってくれても精神的に追い詰められるのは辛い

それもそのはず、公益通報者保護法の保護範囲は下記だけになります。

・解雇をされても無効になる
・配転や降格など不利益な取り扱いを受けない
・公益通報を理由とした派遣契約の解除をされない

戦う弁護士が教える法律ガイド クエストリーガルラボより

つまり今回のオリンパス社のような、社内的な制裁に関しては逃げようがないのです。

勿論弁護士などを活用し会社を訴えることも可能です。事実このオリンパス社の部下は最高裁で勝訴されております。

ただ裁判というのは想像以上にしんどいものです。よほどの強い意思が無ければ挑めないでしょう。

法で整備されてるにも関わらず、どうしてこんな事になってしまうのでしょうか。

企業は告発者を保護しなくても罰せられない

この公益通報者保護法は2004年に制定され、2006年には三百人を超す法人に対して内部通報制度の整備が義務付けられました。

通報窓口の担当者に守秘義務を課し、情報を漏えいした場合には三十万円の罰金が科されることに。

前進した感じはあるものの、結局会社は別の理由を引き合いに出し、社員を左遷させることが出来てしまうのです。

ここがこの内部告発を行う上で一番怖い所だと思います。結局企業は告発者を保護しなくても罰せられないんですね。

じゃあ不正はそのまま見過ごして良いの?

不正は絶対にいけません。

世の中が正しく回っていくためにも、社会や企業は正しく在るべきなのです。

ですが、その正しい行動をしたにも関わらず、会社から左遷という報復を受けることになったら貴方はどう思いますか?

今回のオリンパス社の部下のように、会社に裏切られ、8年という気が遠くなるような歳月をかけて法廷で争い続ける人生を選択できますでしょうか。

特にご家庭をお持ちだったりしますと、その決断は非常に重いものとなるでしょう。

結論:不正告発は慎重に。

全ては日本の法律にまだまだ不備があるのがいけません。

法改正で着実に中身は変わってきておりますが、具体的には下記のような部分に問題が残っております。

告発者を守る措置の一環であるから前進と評価できるが、物足りない点もある。取引先が不正を知る場合もあり、保護対象者を限定的にすべきでない。
法は通報の報復として人事上の不利益な取り扱いを禁じるが、組織は別の理由を持ち出し左遷したりする。
そんな抜け道を許さないために本人に不本意な人事行為そのものを禁ずる考え方もあろう。違反すれば行政機関が勧告し、組織名を公表する策もある。
告発できる不正行為が制約を受けている問題もある。主に個人の生命や消費者の利益などに関わる法律違反に限られる。税法や政治資金規正法、公文書管理法などは対象法からすっぽり抜け落ちている。これはおかしい。決裁文書の改ざんなど数々の不正を考えても、「公益全般」まで視野に入れた制度に改良すべきである。

東京新聞 TOKYO Webより

如何だったでしょうか。今回は社員による内部告発におけるリスクについて解説いたしました。

働く上で企業の不正に直面する可能性は一定あるかと思いますので、その際は慎重に行動することをお勧めいたします。

それではまた次の記事で!最後までお読みいただきありがとうございました。

人生に、彩りを。
Chiva.

コメント

タイトルとURLをコピーしました